パラオ創世神話(Mr.Roman編纂Ver. 1/11)

 

パラオの創世神話を以下に記す。

 

ここで取り上げる神話は一連のストーリーになっているもので、Mr.Roman(マルキョク在住。70歳)が編纂したものを日本語に翻訳したものである。

 

文中のウエル・エングツ(Uchelianged)1などで使われる右上の数字やアルファベットのナンバリングは同じ名前を見分けやすくするためのものである。数字が人や神の名前、アルファベットは土地を表している。

 

 

 

以下神話本文

****************

 

最初期時代 

初めに、海には何もなかった。

神の長であるウエル・エングツ(Uchelianged)1は見下ろし、地を成らせようと言った。

そうして、深い水は浅くなり、そこがルークス(Lukes)aと呼ばれるようになった。

ルークス(Lukes)aでは、1つの貝が育っていた。それはどんどん大きくなり、その中に一匹のエビのようなものが住んでいた。それがラトミカイ(Latmikaik)2となった。ラトミカイ(Latmikaik)2はどんどん大きくなり、貝の中から出てきて身ごもった。しかし、その出産の時がきても彼女はなぜか子供を生むことができなかった。ウエル・エングツ(Uchelianged)1はそれを見ており、彼女の出産を助けるために、嵐と強い潮流を起こそうと言い、そのようになった。

ラトミカイ(Latmikaik)2の最初の子供は魚であった。その後も彼女は魚を生み続け、いつも魚が生まれるときには小さな嵐と強い潮流が生じ、それはラトミカイ(Latmikaik)2が生まれた時と同じであった。その後、ラトミカイ(Latmikaik)2が産む子は、人間でもあり魚でもあるようになっていった。彼らは、深い海の中では魚であり、浅瀬に上がってくると人間になった。そうしてルークス(Lukes)aは、たくさんの稚魚たちでいっぱいになり混雑してきた。それで、ラトミカイ(Latmikaik)2は魚たちに、「海の底を積み上げて陸を形作り、その上に住もう」と言った。そうして陸が作られ、それはアンガウル島(Angaur)Aとなり、魚は陸に上がると人間として住むことができるようになった。(アンガウル島は深い海に囲まれた中にあり、周りに浅い海がほとんどないのはこのためである。)

アンガウル島(Angaur)A5つの酋長を持つ議会として始まった。それぞれの名前は、ウェルケムル・レケド(Ucherkemul Reked)3が第一位として、ウェルケムル・べバエル(Ucherkemul Bebael)4、ウェルケムル・チャイ(Ucherkemul Chai)5、ウェルケムル・エデン(Ucherkemul Edeng)6、ウェルケムル・ウレバンゲル(Ucherkemul Ulebangel)7である。ウェルケムル・ウレバンゲル(Ucherkemul Ulebangel)7はもう少しで人間となるところであったが、彼の内臓はまだ外からでも見えており、彼は魚と人間を結ぶ使者となった。

しかし、アンガウル島(Angaur)Aに更に人が増え続け、悪い行いが増えるようになると、神の長ウエル・エングツ(Uchelianged)1は、ルエル(Ruchel)8をオルセエアル・ラ・ルエル(Olsechal ra Ruchel)A1と呼ばれる石畳の広場に送り、ルケル(Ruchel)8を通して正当な人間にタイトルを与える事ができるようにした。残りのタイトルは、半分人間で半分白い鳥のドゥデク(Dudek)9によりオエル・ウテム(Ochel Utem=Babeldaob)bに渡された。